藤枝市内で特に水害リスクが高いとされる地域は以下の通りです。

1. 南部地域
南部地域は瀬戸川や大井川の影響を受けやすく、浸水深が最大で3.0〜5.0メートルに達する可能性がある地域があります。特に河川の合流地点付近では、複数の河川からの氾濫リスクが重なるため注意が必要です。

2. 青島地区
青島地区は過去の水害履歴からも、集中豪雨時に浸水リスクが高い地域として知られています。この地域では、内水氾濫（排水能力を超えた雨水が溢れる現象）のリスクも高く、短時間の豪雨でも道路冠水などが発生しやすい傾向があります。

3. 西益津地区
西益津地区は河川の合流地点に近く、複数の河川からの影響を受ける可能性があります。特に低地部分では、浸水リスクが高まります。

4. 河川沿いの低地
瀬戸川、朝比奈川、葉梨川などの河川沿いの低地は、豪雨時に氾濫の危険性が高まります。特に河川の湾曲部や堤防が低い箇所では、注意が必要です。

これらの地域で住宅建築を検討する場合は、基礎の嵩上げや耐水性の高い建材の使用など、特別な水害対策が必要となります。また、2階以上に主要な居住空間を配置するなど、間取りの工夫も重要です。

水害リスクを考慮した上で、藤枝市内でおすすめの住宅建築エリアは以下の通りです。

1. 高台エリア

岡部町・旭が丘エリア
標高が高く、浸水リスクが比較的低い地域です。特に岡部町は2005年に藤枝市と合併した地域で、自然環境も豊かで、静かな住環境が魅力です。また、東名高速道路の藤枝岡部ICがあり、交通アクセスも良好です。

葉梨エリア
市の北西部に位置し、標高が高いため水害リスクが少ないエリアです。自然に囲まれた環境で、のびのびとした生活が可能です。特に子育て世代には、自然と触れ合いながら成長できる環境として人気があります。

2. 北部地域

瀬戸谷地区
山間部に位置し、水害の影響を受けにくい地域です。自然豊かな環境で、田舎暮らしを楽しみたい方におすすめです。特に近年は、テレワークの普及により、自然環境の良い地域での生活を求める方に注目されています。

稲葉地区
北部に位置し、比較的水害リスクが低い地域です。静かな住環境と自然の豊かさが魅力です。また、藤枝市の中でも比較的地価が安定している地域でもあります。

3. 利便性の高いエリア（水害対策を施した上で）

藤枝駅北側エリア
市の中心部で利便性が高く、商業施設や公共施設へのアクセスが良好です。駅北側は比較的標高が高く、南側に比べて浸水リスクが低い地域があります。ただし、一部地域では浸水リスクがあるため、適切な水害対策を施した住宅建築が必要です。

焼津市との境界エリア
交通アクセスが良く、生活利便性も高いエリアです。こちらも浸水リスクを確認した上で、適切な対策を講じることが重要です。特に国道1号線沿いは商業施設も充実しており、生活の利便性が高いエリアです。

1. 高床式住宅の進化

水害対策として最も基本的かつ効果的な方法は、住宅を地面から高く設計する「高床式」です。2025年現在、この伝統的な手法は最新技術と融合し、より洗練されたデザインで実現されています。

最新の高床式住宅では、1階部分をピロティ構造（柱だけで壁のない空間）とし、駐車場やアウトドア用品の収納スペースとして活用する設計が人気です。浸水時にはこの部分が「犠牲空間」となり、生活空間への被害を最小限に抑えます。また、階段の位置や勾配も工夫され、高齢者にも使いやすい設計が標準となっています。

藤枝市の南部地域など浸水リスクの高いエリアでは、基礎の高さを通常より50cm以上高くする「嵩上げ工法」も広く採用されています。この工法は、比較的コストを抑えながらも効果的な水害対策となります。

2. 耐水性に優れた建材と構造

2025年の住宅建築では、水害時の復旧コストと時間を最小限に抑えるため、耐水性の高い建材の使用が標準となっています。特に注目されているのは以下の技術です：

・耐水石膏ボード: 従来の石膏ボードは水に弱く、浸水すると交換が必要でしたが、最新の耐水石膏ボードは浸水後も構造的強度を維持し、乾燥させれば再利用可能です。
・防水コンクリート: 特殊な添加剤を混ぜたコンクリートは、水の浸透を防ぎ、基礎部分の耐久性を高めます。
・防水フローリング: 水に強い合成素材を使用したフローリングは、短時間の浸水であれば拭き取るだけで復旧可能です。
また、電気設備の配置も重要です。コンセントやブレーカーを通常より高い位置に設置することで、浸水時の電気系統へのダメージを防ぎます。2025年の新築住宅では、1階の電気設備を床上1m以上に設置することが推奨されています。

3. 自動水密システムの普及

最新の水害対策技術として注目されているのが「自動水密システム」です。これは浸水を検知すると自動的に開口部を密閉するシステムで、以下のような機能が実用化されています：

・自動閉鎖型床下換気口: 水位が上昇すると浮力で自動的に閉じるフロート弁を備えた換気口
・防水シャッター: 豪雨や浸水を検知すると自動的に降下する電動シャッター
・止水板自動展開システム: 玄関や窓の下部に内蔵された止水板が、水を検知すると自動的に展開
これらのシステムは、住人が不在の場合でも機能するため、突発的な豪雨や夜間の浸水に対しても効果を発揮します。特に藤枝市のような河川が多い地域では、これらの設備への投資が将来的な被害軽減につながります。

2025年現在、藤枝市で水害に強い住宅を建てるために確認すべきポイントをまとめました。

1. 土地選び

・藤枝市の最新ハザードマップで浸水想定区域を確認する
・過去の水害履歴を調査する（特に2022年の台風被害など）
・周辺地域より高い土地を選ぶ
・河川からの距離や地形を考慮する
・可能であれば、北部や高台エリアを優先する

2. 基本設計

・基礎を高くする（50cm以上の嵩上げを検討）
・1階の床高を周辺道路より高く設定する
・重要な設備（電気・ガス・水道）を高い位置に配置する
・排水設備に逆流防止弁を設置する
・主要な居住空間を2階以上に配置することを検討する

3. 建材選び

・耐水性の高い外壁材を選ぶ
・防水コンクリートを基礎に使用する
・1階の内装材は耐水性のあるものを選ぶ
・断熱材は吸水性の低いものを選ぶ
・浸水後も強度を維持できる構造材を選ぶ

4. 設備計画

・コンセントやスイッチを高い位置に設置する
・エアコンの室外機を高い位置に設置する
・自動水密システムの導入を検討する
・非常用電源（蓄電池など）の設置を検討する
・雨水貯留タンクや浸透ますの設置を検討する

5. 保険と支援制度

・水害に対応した火災保険に加入する
・藤枝市の水害対策補助金制度を確認する
・住宅ローンの災害特約を確認する
・「デジタル版マイ・タイムラインシステム」に登録する
・地域の防災コミュニティに参加する

2025年の藤枝市における住宅建築は、水害対策と快適な暮らしの両立が求められています。気候変動による豪雨の増加や台風の強大化が予測される中、住宅は単なる生活空間ではなく、家族を守る「シェルター」としての機能も重要です。

藤枝市内でも、岡部町・旭が丘エリアや葉梨エリアなどの高台地域は、水害リスクが比較的低く、安心して住宅を建てることができるエリアです。一方、南部地域や河川沿いの低地では、適切な水害対策を施した住宅設計が不可欠です。

水害に強い住宅は初期投資が若干高くなる傾向がありますが、被災時の復旧コストや精神的負担を考えれば、十分に価値のある投資といえるでしょう。また、2025年現在の住宅は、省エネ性能や耐震性能と水害対策を総合的に考慮した「マルチハザード対応」が標準となっています。

藤枝市で家づくりを検討される方は、ハザードマップの確認から始め、信頼できる建築のプロフェッショナルと相談しながら、長期的な視点で住まいづくりを進めることをお勧めします。水害に強い住宅は、家族の安全を守るだけでなく、地域全体のレジリエンス（回復力）向上にも貢献します。

参照：藤枝市HP「藤枝市ハザードマップポータルサイト」

参照：藤枝市HP「藤枝市防災情報サイト」

参照：国土交通省「国土交通省 水害リスクライン」

参照：国土交通省「国土交通省 水害に強い住まいづくりガイドライン」

参照：藤枝市HP「藤枝市雨水貯留施設等設置補助金」

建築家と共に、お客様の想いに寄り添いながら、
“毎日が特別な日になるように”——そんな願いを込めて、世界に一つだけの住まいづくりをカタチにします。

■最新のイベント情報はこちら
■家づくりに役立つコラム/ブログはこちら
■Instagramはこちら 
■限定プレゼント配布中！LINE追加はこちら